コラム

【連載】発達障がい ~第1回~

発達障がいとは?

これから発達障がいについての記事を連載していくにあたり、まず最初に「発達障がい」とはどういった障がいであるのかを知っていただく必要があろうかと思います。
このページでは、

・就労移行支援を受けたい、受けている発達障がいの当事者の方
・そのご家族の方
・今後発達障がい者の雇用を考えている企業の方

に対し、発達障がいの当事者やご家族の方が支援を受けながら働いてみたい、採用を考えている企業の方が発達障がい者を雇用してみたいと思うきっかけとなることを目指し書いていきたいと思います。

(1)「発達」の「障がい」である

「発達」とは、生まれてから社会で自立して生活できるまでの過程のすべてを指します。「障がい」という日本語は断定的な響きを持っていますが、発達障がいの「障がい」は、子どもから大人が社会生活を行う上で何らかの活動に制限があったり、制約があったりすることを指します。つまりは、当事者自身や当事者の周囲が、生活を行っていく上で著しく困った時に初めて障がいとなるのです。

(2)発達障がいの定義

発達障がいの定義は、発達障害者支援法(平成17年度施行)に定められています。「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障がい、学習障がい、注意欠陥多動性障がいその他これに類する脳機能障がいであり、その症状が通常低年齢で発現するもの」とされています。何らかの脳機能障がいが存在していることが前提であり、保護者の育て方だけでは生じません。また、通常低年齢に生じるものであり、成人になってから生じることはありませんが、成人になってからその存在に気付くことがあります。

尚、発達障害者支援法では、ICD-10(世界保健機関)の基準が使われており、医療の現場では、DSM-5(米国精神医学会)の基準が使われていることが多いです。DSM-5(米国精神医学会)では広汎性発達障がいやアスペルガー障がいは、自閉スペクトラム症(ASD)、学習障がいは限局性学習症(SLD)と呼ばれるようになっています。それぞれの障がいは独立しているものではなく、併発することもあります。

(3)診断時期

発達障がいを抱えている方はそれぞれ「特性」があると言われますが、「特性」とは「そのものだけが持つ性質」という意味です。そのため、診断時期もバラバラです。以下は例です。

①乳幼児期
・乳幼児健康診査(1歳6ヶ月・3歳児)
・家庭、保育所、幼稚園での問題

②学童期
・就学時健診
・家庭・学校における問題 / 進路・進学相談

③青年期以降
・大学生活
・就職活動、就労相談等

本ページをご覧になっている当事者の方は③に該当する方が多いでしょうか。例えば、大学進学後は自分でカリキュラムを設定する、サークル活動等で多くの人と接する場面が増える等、様々なことを自ら考え実行していかなければならないことが多くなり、周囲との差を感じ、発達障がいであることを自覚することも少なくありません。

(4)特性

ここでは(2)で述べた中で代表的な①注意欠陥多動性障がい②自閉症スペクトラムの特性の例について説明していきます。先述したように、特性とは「そのものだけが持つ性質」であるので、すべての発達障がいの方があてはまる訳ではありません。

①注意欠陥多動性障がい(ADHD
・注意力を保ったり、さまざまな情報をまとめたりすることが苦手、気が散りやすい(不注意)
・じっとしていられない(多動性)
・思いつくとすぐ行動する(衝動性)
一般的に思春期以降はこういった症状が目立たなくなるともいわれていますが、就労後に再度自覚する事例(不注意など)も度々見られます。

②自閉症スペクトラム(ASD
a.  社会的コミュニケーションの障がい
例:言葉の意味を字義通りに受け取ってしまう
「皮肉」や「冗談」など、言葉の裏の意味を理解することが難しいことがあります。他の人が「こうだと思っていること」や「こうしたいと考えていること」をその人の様子から推測することがとても苦手です。

b.  興味の限局と常同的・反復的行動
例1:予期しない変化が苦手
予期しない出来事について、とても辛く感じます。そのため、予期しないことや変化の対応には苦難や苦痛を感じます。何が起きるかを想像することが難しく先が見通せないことが多くあります。

例2:感覚が過敏

【過敏性の例】
視覚の過敏性:ささいな光でも混乱する。
聴覚の過敏性:うるさい場所では耳を塞ぎ嫌がる。
触覚の過敏性:軽く触られても痛いと感じる。
味覚の過敏性:強い偏食がある。
嗅覚の過敏性:特定の香りを嫌がる。
通常、なんでもない刺激でも過敏に感じてしまうことがあります。感覚の過敏さが影響し、人が多い所が苦手など、仕事に影響することも多くあります。

何度も言いますが、特性とは「そのものだけが持つ性質」であるので、上記の特性はすべての発達障がいの方にあてはまる訳ではありません。それぞれ特性が異なるため、特性をカバーするための対処法も異なるのが発達障がいの特徴です。そのため、仕事を滞りなく行うためには、当事者も家族も企業側も、それぞれの特徴や、得意なこと苦手なこと、その対処法を理解する必要があります。

しかし、それらを当事者の方やご家族だけ、企業だけで考えていくのはとても大変です。就労移行支援では、病院等での診断内容等も参考にしながら、それらの特性や対処法を当事者やご家族とともに考え、採用をして頂く企業等にその内容を伝えることができます。支援を受けて頂く一番のメリットは、そこにあるかと思います。

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